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ZOO〈1〉 (集英社文庫)
犯人が何故に犯行を起こす気になったのか、7つの部屋がある場所はどこなのか、詳しい説明がなされないからこそ私の想像は暴走してしまう。
物悲しさがありつつも、もしかしたら犯人にも、そうさせる物悲しいストーリーがあったのかも知れない。
他の短編で犯罪を犯してしまう人物がそうであったように、何かしらの理由があるのだと思いたい。
簡単な「殺す前の怯える顔が好き」とか「細かく切り刻む行程が好き」とか何がしの理由が記載されていないからこそ嵌りこんでしまう。
ひとつの物語から無限に広がる物語が私の頭の中で紡がれ始めるのだから、楽しくない訳が無い。
表題の「ZOO」は2番目に好き。
乙一の紡ぐ物語の中で、特に死臭のするものが大好きだ。
登場人物の誰かに、どこかしら自分に似た部分を垣間見てしまうからだと思われる。
ZOO〈2〉 (集英社文庫)
美しさを想像し難いオジサンという存在が苦手だからかもしれない。
これが、ジェントルでダンディだという想像が出来るオジサンなら嬉々として読み進めただろうが残念な事に己の事を「ワシ」と表現するオジサンがジェントルでダンディだとは思えなかったからだ。
短編ばかりだからか、乙一を読み慣れてしまったからか、結末が予想できてしまった。「神の言葉」の主人公が抱く世間に対する思考は解り過ぎて不愉快になる寸前。
「落ちる飛行機の中で」は緊迫した回りとは違う緊迫する駆け引きに笑い事ではないのだがユーモアを感じてしまう。
何だかんだと文句を連ねながらも十二分に楽しめる。
単行本未収録「むかし夕日の公園で」が特別収録されていて、本当に短い字数の中で色々な その後 を脳内に掻き立ててくれる秀逸な作品。
「ZOO」として2冊に分ける必要はなかったのではないかと思われるが、動物園で少し距離を置いて動物を眺めるように、個々の登場人物を眺めるという意味合いでは良いのかも知れない。
でも、やっぱり2冊に分けなくても。。。(しつこい)
失はれる物語
標語のようにも思えるが、夏と言えば「夏と花火と私の死体」のお陰で乙一だと私の脳は考えるようになってしまった。
短編集であるが、哀しい事にこの本には既読の短編が収められている。
読むまで気付かなかった
同じ短編をばら撒かないで欲しいものである。ここでも出版社の陰謀にまんまと引っ掛かっている私自身が笑えて仕方が無い。
読む前には既読の作品がないか短編集の場合には確認が必要である。
好きな作品と
この中では「マリアの指」がお気に入り。
心を蝕んでいそうな乙一の文章。
ああ、心を蝕み病んでいるのは私だ。
GOTH 僕の章
何故に2冊に分けてしまったのか、出版社には理解できても私には理解できない。
「僕」は私の中にもいる。
「僕」は誰の中にもいる。
いつ「僕」が現れるのか解らないし、いつ「僕」と出会ってしまうのかも解らない。
出来るなら生を全うするまでどちらの「僕」にも出会いたくないものである。
収録された3編のうち「声 Voice」が一番のお気に入り。
「リストカット事件」も「土」も好き。
要するに全部が好き。
でも、2冊に分けられてしまった点だけは好きになれない。
GOTH 夜の章
ニュースで取り上げられる事件のように、現実なのだが現実感が無い。
自分の住んでいる町で事件があったとしても、遠い異国の話にしか私には感じられない。
拾った手帳に克明に綴られている殺人過程を読んだとしたら
その続きが知りたい一心で、現場を観に行きたいと思うだろう。
これは悪趣味なのだろうか。
見たいと思う気持ちは誰にしもあるはずだ。
ただ、色々な倫理観や制約の中でその気持ちを口にできないだけだと思われる。
娯楽が溢れているからこそ、こうした事件に対する好奇心は後ろめたくなる。
GOTH=猟奇的 のよな印象を残させてしまった点はGOTHICファッションが好きな私としては残念に思う。
私が見てみたい好きな世界を描いてくれる、
きみにしか聞こえない―CALLING YOU
他人との距離を感じるのが寂しいとか辛いとか、携帯電話が鳴らないとか、そんな事で悩んだ時期が私にも確かにあったと思われる。
社会人になって、そんな事も言ってられなくなった。
頭の中で交わす会話と言うのはどんなものなのだろう。
声はどんな風にきこえてくるのだろう。
ホラーテイストの乙一が好きならば物足りないと思われる。
私には物足りなかった。
ちょっと物悲しい恋物語(?)が好きならば乙一であっても気にしないで読んでみればいいと思う。
夏と花火と私の死体
好きな人を取られたくない。好きなものを取られたくないという気持ちは
子供のほうが素直に、時に残酷なまでの意思表示をする。
そして子供は純粋な者だと思われているようで、実は小賢しい。
私も子供の頃、小賢しかったと思う。
小賢しい子供。純粋で真っ直ぐな子供。どちらをも持っている子供達。
その子供を愛してやまない優しい人。
恐ろしいものは平穏な日常に潜んでいる。
「普通」と言うものが私は一番怖い。
暗いところで待ち合わせ
もし、目が見えなくなったら。なんて事は五体満足精神不満足な日常では考えない。
生まれながらに目が見えないのと、見えている状態から見えなくなるのとでは
おおきな違いがあると思われる。
今、こうしてPCに向っている日常が日常で無くなる。
世界には自分しか存在しないような孤独感。
使いなれた家を一歩、外に出れば経験した事の無い真の闇が広がっている。と、思われる。
使い慣れた家の中に感じる違和感が恐ろしいと感じるはずなんである。
見えないからこそ見えるものがあるのだと思う。
私の日常には見えなくていいものばかりが目に映る。
人間、良い人ばかりとは限らない。悪い人ばかりとも限らない。
小生物語
確かに、エッセイや日記だと思って読むと間違いなく買わない方が無難。
日記と言う名前の小説の元だと思えば楽しく読めた。
ソファーに座っていた少年はあの後、どうなったのかと2次的想像を膨らませたりする。
ふざけているように思えたり。やっぱりアブナイ人なのかと確信したり。
時間潰しには丁度いい読み物だと思う。
これを読んで初めて著者が結婚している事を知り、驚いた。
とても好きな作家・・・とまでは言わないけど
その記述に関しては素直に驚いた。